葉ニンニクの季節到来(平成28年12月25日掲載)

生産量 南国市が9割超  需要増、県外出荷に期待

葉ニンニクの季節到来(平成28年12月25日掲載)

高知の冬の食卓に欠かせない、青々とした「葉ニンニク」。古くからクジラのすき焼きや刺し身に付ける「ぬた」など郷土料理として親しまれてきた。他県ではあまり食べられることのない葉ニンニクの出荷量は年間約15トン(高知県園芸連扱い)。そのほとんどが香長平野で栽培されている。出荷のピークを迎える葉ニンニクの栽培農家を取材した。

▼米裏作に適した作物

▼米裏作に適した作物

 高知県独特の野菜、葉ニンニク。起源は諸説あるが、豊臣秀吉が行った朝鮮出兵の際、長宗我部氏が朝鮮人を連れ帰り、ニンニクを食べる食文化が広まったといわれている。その名の通りニンニクから芽吹いて伸びる葉であり、独特の香りを持つ。
 南国市では古くから栽培が盛んで、県内の年間出荷量約15トンのうち、JA南国市が9割を超す約14トンを占める。粘土質の土地が栽培に適しており、稲生地区が最も大きな産地で、三和地区、日章地区でも栽培されている。
 三和地区で農業を営む西山悌(やすし)さん(57)も葉ニンニク生産者の一人。7年前にUターンし、実家の農業を引き継いだ。農業は全くの素人で、米の裏作に何を植えたらいいかと県の農業振興センターに相談したところ、「地質が葉ニンニクに向いているので作ってみては」とアドバイスを受けた。
 現在は小ネギのハウス栽培を主軸とし、4月から8月までは米を作り、収穫が終わった田に畝(うね)を立てて、葉ニンニクを栽培する。8月後半から10月前半まで植え付け作業を行い、生育状況を見ながら出荷は3月上旬まで続く。
 西山さんは、昨年まで20アールだった作付け面積を、外国からの農業実習生を受け入れて労働力がアップしたこともあり今年は倍の40アールにした。雨に恵まれ、みずみずしく青々とした葉ニンニクに育ったという。

▼一つ一つ手作業で

▼一つ一つ手作業で

 植えるのは「四川」という葉の成長が大きい種類のニンニクで、通常の芋を育てるニンニクとは異なる。葉ニンニクの栽培に適した気温は15〜25度。1月から2月は霜をよけるためにトンネル状のビニールハウスを立てることもある。
 水田は機械で田植え、稲刈りをするが、葉ニンニクの場合はすべて手作業。芽が出る方を上にして、等間隔に並べて植え付ける。水田と同面積の畑にしゃがみ込んで一つ一つ植えるのは根気がいる仕事で、西山さんは「まるで修行のようです」と笑う。
 栽培は比較的手が掛からず、色や成長の具合を見極めて施肥を行い、30〜40センチに伸びたところで収穫する。温度が高くなってから収穫すると葉がしおれてしまうため、朝の薄暗いうちから一つ一つ手作業で引き抜く。気温が氷点下になる時期には葉が凍るため、気温が上がってからの収穫作業となる。
 葉ニンニクは葉の面積が広く水分が蒸発しやすいため、氷水に20〜30分ほど漬けることでシャキッと鮮度を保つ。葉先の黄色くなった部分を切り落とし、2〜3株ずつ袋詰めして出荷。収穫が始まる頃は1日に約20キロほど、最盛期には約60キロを出荷するという。

▼広い用途

▼広い用途

 数年前にテレビ番組で紹介され、全国的にもやや知名度がアップしたと思われる葉ニンニクだが、傷みが早いため流通が難しく、高知県園芸連から出荷される年間15トンのほとんどが県内で消費されている。
 「千葉では売っていないし、食べたことがなかった」という西山さんも、今では「ぬたやすき焼き以外にもおいしい食べ方があることを知ってほしい」と、量販店での試食販売にも出向く。ゆでた葉ニンニクをツナとマヨネーズで合えたり、チヂミに入れたり、ベーコン炒めにしたり、用途は広いという。
 本場の中華料理、台湾料理では葉ニンニクは常用される野菜で、回鍋肉(ホイコーロー)には本来キャベツではなく葉ニンニクを使用するという。
 今後は中華野菜としての需要が高まる見込みで、鮮度保持の技術が進めば県外の市場出荷も可能になる。現在、ニラやネギなどの梱包(こんぽう)に使用されているパーシャルシールの技術を応用する取り組みが進んでいる。
 JA南国市・営農渉外課の吉川悠也さん(27)によると、「作りやすいので、新規就農者にもチャレンジしやすい作物。稲の後作や収穫が終わり次作までの期間のあるハウスでも作れるので、南国市の農家にはとても合っています。高齢でやめてしまう人もいますが、新しい若手の生産者も増えています」と、展望は明るい。
 作業の機械化による省力化、収量アップの余地もあり、今後の需要増加、販路拡大に大きな期待が寄せられている。

《うちんくレシピ》 葉ニンニクのぬた

《うちんくレシピ》 葉ニンニクのぬた

 【材料・4人前】
 葉ニンニク…1束、白みそ…180グラム、食酢…150ミリリットル、砂糖…大さじ1
 【作り方】
 (1)葉ニンニクを刻み、すり鉢で滑らかにすりつぶす。
 (2)に白みそを加えてすり、さらに砂糖、食酢を加えて滑らかにする。(提供:JA南国市)

《直販所見〜つけた》 とんとんのお店

《直販所見〜つけた》 とんとんのお店

 人口減少により小学校が統合、新しい道路ができて人の流れがなくなり、商店も姿を消した旧土佐山村(現・高知市)。衰退する地域をなんとかしようと、1997(平成9)年に地域の人々が出資して「有限会社 中川開発」を立ち上げ、「とんとんのお店」をオープンした。地域の人々にとってはなくてはならない商店であり、食事処(どころ)であり、憩いの場。隣接する「オーベルジュ土佐山」の利用者にとっても、土佐山の特産品に出合えるうれしい場所となっている。
 名前の由来は、「もうけがなくとも損もない、とんとんで運営を」という思いから。地域活性化を目的に、「とんとん拍子に元気を取り戻す」ことを願って名付けられた。
 四季折々の自然の恵みが並び、これからの季節はイチゴや肉厚の原木シイタケも人気。猟師が仕留めたイノシシ肉の販売や、イノシシうどんがメニューに登場することもある。この地域で一番先に春を呼ぶのは、「嫁石の梅まつり」。とんとんのお店も出店し、ふるさとの味を販売するのでぜひお運びを!

みどりの広場 | 高知県農業協同組合中央会

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 所在地  高知市土佐山東川661
 電話   088・895・2880
 生産者数 約20人
 売場面積 農産物販売70平方メートル
 営業時間 11〜3月
      午前9時〜午後5時
      4〜10月
      午前9時〜午後5時半
 休み   1月1、2日、オーベルジュ土佐山の休業日
 駐車場  約50台

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