「青果ユズ」輸出拡大を(平成29年2月26日掲載)

「青果ユズ」輸出拡大を(平成29年2月26日掲載)

 生産量日本一を誇る高知県の特産品、ユズ。爽やかな香りと酸味は和の食卓に欠かせないもので、調味料や飲料、アイスクリーム、菓子などにも多用され、高い人気を誇る柑橘(かんきつ)だ。現在、北川村と、「JA土佐れいほく」は、販路拡大を目指してそれぞれ海外輸出を行っている。生産者らの努力でさまざまな課題を乗り越えながら、将来的な輸出増に向けて取り組む産地を取材した。

▼官民一体で推進

 県内のユズ産地の中で先駆けとなったのは北川村だ。同村は平成の初めごろからゆず果汁の海外輸出に着手していた。  接ぎ木をしない実生ユズの果汁は香りが高く、味わいも濃厚。塩入りの果汁が「ゆず北川村」という商品として認知され、数社の貿易会社から引き合いがきたという。  その後、2009(平成21)年の大豊作で果汁の在庫が大幅に増えたことを機に、高知県と村役場が連携して本格的な果汁の輸出に乗り出した。同年、「北川村ゆず輸出促進協議会」が発足。翌10(同22)年春、シンガポールで生産者や県内業者と共にユズを紹介する商談会に参加した。手応えは大きく、早急に輸出の手続きやシステム構築を進め、11(同23)年の9月には、18リットル入りポリ容器に入れて冷凍した果汁4トンを輸出した。
 地元企業と取り引きのあった貿易会社を通じ、フランスを中心にゆず果汁をはじめさまざまなゆず加工品が輸出され、味や風味、使い方も広まっていった。  同時期にフランスで行った賞味会で、シェフから「生のユズを使いたい」という声が上がり、需要に応えるため同村の「土佐北川農園」、「北川村ゆず王国(株)」が輸出用青果ユズの栽培に着手。村、安芸農業振興センター、県農業振興部産地・流通支援課が情報を集めて支援した。農薬、防除などに苦労しながら育てたユズ玉は、12(同24)年に日本で初めて海外に渡った。初年3トン、毎年微増を続け今年は4トンの青果ユズを輸出した。

▼基準クリアが課題

▼基準クリアが課題

 「輸出用の青果ユズの栽培には、大変なコストと労力が掛かるんですよ」。そう語るのは、JA土佐れいほく園芸部柚子(ゆず)部会の川井和彦部会長。
JA土佐れいほくでは、2005(平成17)年にゆずジュースやドレッシングなどの加工品生産をスタートし、台湾やアメリカへの輸出も行ってきた。その後、国内でユズの人気が高まったことから、産地活性化を目指して11(同23)年、新たなユズ加工場を建設。果汁の輸出も事業計画に盛り込んだ。
 ところが、思ったように輸出が伸びず、在庫に余剰が出始めた。その頃、国が農産物輸出促進に力を入れていたことから、支援を受けて青果を輸出してユズの認知度を上げ、果汁や加工品の需要拡大と販路開拓へつなぐ方針を打ち出した。13(同25)年に行政とJA、生産者が連携し、青果ユズの栽培、オランダへの輸出について検討、研究をスタート。14(同26)年に1トンを初輸出、3年目の今年は1・2トンを輸出した。

▼厳格な規定

 そもそも、ユズは大きくて堅いとげがあるため表面に傷が付きやすく、青果として見栄えよく仕上げるのに手間が掛かる。それに加えて、海外に輸出するためには相手国の検疫に合格することが必須となる。これは“先駆者”である北川村の場合も同様だ。
 使用可能な農薬、残留農薬の審査基準や、病害虫の防除などが日本と大きく異なるため、欧州連合(EU)の規定にのっとった新たな輸出用青果ユズの栽培が必要となった。
 果実に害を与えるミカンバエは、ヨーロッパには存在しない昆虫。徹底した防除が求められ、JA土佐れいほくの場合、農林水産省の植物防疫所が嶺北地域全体をモニタリングした後、1カ月ごとに発生や飛来がないか確認した。さらに、「園地から果実を移動させないこと」という条件が課せられ、園地内に梱包(こんぽう)施設を造る必要があった。出荷の際には一玉一玉、殺菌溶液に漬けて拭き取り乾燥し、手作業で箱詰め。完全に梱包した状態で初めて園地外への持ち出しが許された。厳しい栽培条件をクリアしても、青果ユズとして出荷できる秀品は全体の3割ほどにとどまるという。
 また、JA土佐れいほくの場合、商社や貿易会社を通じて販売店に届くため、現地での反応や市場の動向を把握しづらいというのも悩みの種。ただ、過去にはカナダやドバイ、イギリスへも輸出し「好感触なのは間違いない」(同JA)ので、今後は、防疫の基準が日本に近い輸出先を開拓し、国内向けの青果ユズや下級品も販売していきたいと考えている。

▼高知発のブランド

▼高知発のブランド

 北川村、JA土佐れいほくとも「輸出用の青果ユズは手間がかかるが、高知県産ユズの将来を担う大切な商品」と位置付ける。利益は薄くても「作り続けること、輸出し続けることが大事」という。“日本が誇る高級食材”の産地として地位を確立することが、ユズ生産者全体の利益につながると考えているからだ。
 昨年、高知県は県産ユズを「KOCHI YUZU」として、EU、香港、シンガポールで商標登録した。今年1月にフランス・リヨンで開かれた国際外食産業見本市に県がブースを出展し、北川村も参加してユズをアピール。同行した同村産業課の大坪崇ゆず振興室長は、「12年に『パリ国際見本市(SIAL)』に出展したときには、誰もユズを知らなかった。今や誰もが知る食材になり、スーパーにユズ味のお菓子が並ぶ」と認知度の高まりを実感したという。  フランスから、さらに他の国へと広がりを見せるユズ。世界的ブランドを見据えた取り組みは続く。

《直販所見〜つけた》香北町良心市

《直販所見〜つけた》香北町良心市

 正方形に仕切られた棚が整然と並び、その中に新鮮な野菜や果物が“鎮座”する独特の風景。元々は備え付けの空き缶に料金を入れる良心市としてスタートし、その後レジで利用者に対応する今の形となった。
 しかし、「(香美市)香北町の人が作っている物、その日ある物を出す」というスタイルはそのまま。「何でもそろう」というわけにはいかないが、思わぬ掘り出し物に出合える市となっている。
 香北町は食が豊かな所で、おいしい韮生(にろう)米をはじめ、ニラやネギ、シイタケ、大葉などの特産品が並び、季節ごとにモモやイチゴ、ミカンなどの果物もいろいろ。菊やシャクヤクなどの花類も美しく安価。新しい作物にチャレンジする人が多く、モンキーバナナやパイナップルなどの珍品が並ぶこともある。山から切り出した自然の形そのままの花木類は華道に向くといい、遠くから買い求めにやって来る人もいる。「今日は何があるろう?」と宝探しの気分が味わえる良心市。通りがかりにはぜひのぞいてみたい立ち寄りスポットだ。

みどりの広場 | 高知県農業協同組合中央会

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 所在地   香美市香北町美良布1293
 生産者   約250人
 売場面積 40平方メートル(農産物販売)
 営業時間 10〜3月 午前7時半〜午後5時 4〜9月 午前7時〜午後6時
        休み  元日〜1月3日
 駐車場   約10台

新「県域JA」の名称募集

 県内12JAや各連合会が統合し、2019(平成31)年1月に発足する新たな「県域JA」の新名称を募集します。
 はがき、またはEメールkoubo@chu.ja-kochi.or.jpでご応募ください。
 (1)住所(2)氏名(ふりがな)(3)性別(4)年齢(5)職業(6)電話番号を明記し、新たな名称と命名理由をご記載ください。はがきは〒780−8511高知市北御座2の27「JA高知中央会 県域JA公募係」へ。
 募集期間は3月1日〜4月28日まで。応募案の中から選考または参考にし、新名称を決定。6月にJA高知中央会のホームページで発表します。採用された名称の応募者には年間を通じて県特産品セット(該当者複数の場合は抽選)、抽選で30人に5千円相当の特産品をプレゼントします。採用者などの発表は賞品の発送により代えさせていただきます。
 お問い合わせは、電話088・802・8033へ。

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